外国人採用に際しての手続きについて
近年では、国内においても外国人採用が行われることが多くなっています。
最も、その際に手続きの方法がわからないという場合も少なくありません。
外国人採用においては「就労ビザ」の取得や更新が不可欠となりますが、これを理解しておけば安心して雇用をすることが可能です。
本稿では、外国人採用に際しての手続きについて解説していきます。
外国人採用の際の5つのステップ
外国人採用に際しては、大きく分けて5つの段階を踏んで手続を進めることになります。
以下、順を追って確認していきましょう。
①就労ビザ取得見込みの調査
まずは、面接を開始する前に、採用を考えている外国人に就労ビザ取得見込みがあるかどうか調査する必要があります。
せっかく面接を経て採用を決定しても、当該外国人に就労ビザ取得の見込みがなければ、国内で働くことができなくなるため採用までの過程が無駄になってしまいます。
取得見込みを調査する際には、主にその者の学歴や職歴、技術などを見ていくことになります。
最も代表的な雇用形態は「オフィスワーカー」と呼ばれるものですが、この場合「技術・人文知識・国際業務ビザ」というものの取得が求められます。
この際、学校で専攻していた分野が採用を考えている職種に見合ったものであるか、もしくは採用職種について10年以上の実務経験があるかという観点から取得見込みを判断するのが一般的です。
また、学歴や職歴以外にも、在留カードを確認する必要があります。
このときチェックするのは、在留資格の種類、在留期間の満了日、資格外活動許可の3点です。
在留期間を超過しており不法滞在の状態にある者や、就労不可の記載がある者に関しては、採用を避けるようにしましょう。
上記のビザを取らずとも、採用を考えている外国人が日本人と結婚している場合や永住権を持っている場合など、一定のケースではビザが必要ないこともあるため、確認しておきましょう。
②内定、雇用契約書の作成
調査の上で面接を行い、内定となった場合には、雇用契約書を作成することになります。
この契約書は、職務上必要となるほか、就労ビザ申請の際にも添付が必要となります。
そのため、申請前に作るようにしましょう。
作成方法については、日本人の場合と変わりありません。
もっとも、当該外国人が日本語に通じていない場合、内容が理解できるように外国語の契約書を用意する必要があること、業務内容欄には当該外国人の学歴・職歴とリンクしたものを記載する必要があること、在留資格の許可・在留期間の更新を条件としている旨記載しておかなければならないことには注意が必要となります。
③就労ビザの申請
就労ビザの申請は、会社がある場所を管轄している入国管理局に対してすることになります。
このときの方法は、「海外に在住する外国人を採用し日本で就労してもらう場合」「日本で既に就労している外国人を自社で採用する場合」「日本で留学している者を採用する場合」の3種類に分かれます。
まず、海外に在住する外国人を採用し日本で就労してもらう場合ですが、会社側から在留資格認定証明書を日本の入国管理局に対して申請を行う必要があります。
その後無事発行が行われた場合、海外在住の外国人に向けて証明書を送り、それを用いて外国人本人が海外の日本大使館に対して就労ビザの申請を行うという過程を経ることになります。
次に、日本で既に就労している外国人を自社で採用する場合ですが、就労資格証明書を交付するよう入国管理局に申請する必要があります。
当該外国人が、既に働いている会社のものだけでなく自社の業務分野についても就労が行えることを確認するためです。
この申請は本人でも会社でも行うことができますが、会社が行ったほうがより確実であるといえます。
最後に、日本で留学している者を採用する場合ですが、留学ビザから当該職務に必要なビザへの切り替え手続きを行う必要があります。
④就労ビザの審査
申請が終われば、審査の完了を待つことになります。
審査には基本的に1~3ヶ月ほどの時間がかかり、審査が不許可になってしまう場合もあります。
審査項目については学歴・職歴と採用に係る業務が関連しているかどうかに加え、前科を持っていないか、外国人を受け入れる会社側の財務状況が良好か否か、外国人に対する給与水準が低すぎたり、日本人と比較して著しく低くなっていたりしないかなどがあります。
⑤雇用開始
審査に無事通過すれば、外国人の雇用を開始することができます。
雇用を開始する際の注意点として、ハローワークへの届け出を行う必要があること(ただし、雇用保険に入る場合には不要)、行える業務の範囲はビザで指定されたものに限られること、ビザの更新を行うよう外国人に働きかける必要があることが挙げられます。
在留資格・ビザ申請については森下法律事務所にご相談ください
外国人採用に際しては、就労ビザの取得が不可欠となります。
したがって、必要な手続をしっかりと行うことに加え、事前にビザ取得の見込みがあるか確かめることや、事後にビザの期限を確認し必要があれば更新を促すことを心がけるようにしましょう。
森下法律事務所では、在留資格・ビザ申請をはじめ、皆様からのご依頼を承っています。
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