法規制と実務上の留意点 規制に違反した場合

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法規制と実務上の留意点 規制に違反した場合

ビジネスを行うにあたっては、各種の法規制を理解しこれら規制に抵触するリスクを避ける必要があります。

本記事ではビジネス上特に問題になる法律について解説していきます。

景品表示法について

景品表示法(景表法)とは一般消費者向けの広告や景品提供についての規制を設けたもので、ビジネスを行うにあたって注意を要する法律の1つです。

事業者にとって、広告による宣伝や、イベントでの景品譲渡は日常的に行われるものですので、景表法の目的や禁止される行為について理解を深める必要があります。

 

・景表法による禁止対象について

景表法により禁止される行為は以下の2つです。

 

①不当表示の禁止

景表法は、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保すると言う目的のもと、「自己の供給する商品または役務の取引」について優良誤認表示、有利誤認表示、指定告示に基づく不当表示のいずれかにあたる表示を禁止しています。

優良誤認表示とは、商品やサービスの内容についての不当表示のことを指し、有利誤認表示とは商品やサービスの価格などの取引条件についての不当表示のことを指します。

また指定告示とは、内閣総理大臣が指定する優良誤認表示・有利誤認表示以外の不当であると考えられる表示を指し、例えば「有料老人ホームに関する不当な表示」や「不動産のおとり広告に関する表示」などが不当表示として指定されています。

 

②景品類の制限及び禁止

景表法では、消費者の判断を誤らせるような過大な景品の提供をすることも禁止されています。

具体的には、くじや抽選といった一般懸賞、商店街や一定の地域内の同業者が共同して景品を提供する共同懸賞、商品の購入者や来店者全員に景品を提供する総付景品に加え、特定の業者において提供される景品類について、上限額の規制が設けられています。

 

・景表法に違反した場合について

景表法に違反すると認められる場合、内閣総理大臣による措置命令がなされ、措置命令に違反した場合は2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されます。

また、内閣総理大臣による資料の提出や報告などの命令に違反した場合、1年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されることになります。

特定商取引法について

特定商取引法とは、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を未然に防ぎ、消費者が安心して商品やサービスの購入・利用ができる環境を作ることを目的とした法律です。

 

・規制の対象となる取引について

特定商取引法は以下の7つの取引類型について具体的な規制を設けています。

①訪問販売

②訪問交流

③電話勧誘販売

④通信販売

④連鎖販売取引

⑤特定継続的役務提供

⑥業務提供誘引販売取引

 

・規制の内容について

上記取引類型のうち、例えば訪問販売を例にとると、契約をする意思がないにもかかわらずその後も勧誘行為を継続する事は禁止されており、また、実際に申し込みや契約締結に至った場合であっても、取引の詳細を記した書面を交付する義務が課せられています。

このように、各取引類型ごとに厳しくルールが設けられていますので、取引を開始する前に、規制の内容をよく確認しておく必要があります。

 

・クーリングオフについて

特定商取引法においては、民事上の救済を図るために「クーリングオフ」と言う制度も規定されています。

クーリングオフとは、一定期間以内なら無条件で契約の解約ができると言う制度のことを指し、訪問販売・訪問購入・電話勧誘販売・特定継続的役務提供であれば8日間、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引であれば20日間の期間内であれば、契約を解約することができます。

 

・特定商取引法に違反した場合

特定商取引法に違反した場合、業務改善の指示・業務停止命令のほか業務禁止命令といった行政処分の対象となる可能性があります。

資金決済法について

資金決済法は、資金決済に関するサービスの適切な実施やサービス利用者の保護を目的とした法律です。

 

・規制の対象について

資金決済法の規制対象となるのは、「前払式支払手段発行業」「資金移動業」「暗号資産交換業」「資金生産業」の4つです。

 

①前払式支払手段発行業

アプリ内で使用できるポイント、交通系電子マネー等の支払い手段など現金の代わりに対価を支払うことができる手段を発行することを業とすること。

 

②資金移動業

銀行等以外の事業者が為替取引を行うことを業とすること。

 

③暗号資産交換業

暗号資産の売買、取引、それに伴う利用者の資産管理を行うことを業とすること。

 

④資金清算業

為替取引に係る債権債務の清算のため、債務の引き受け、更改その他の方法により、銀行との間で生じた為替取引に基づく債務を負担することを業として行うこと。

 

・規制の内容について

例えば前払式支払手段発行業を例にとると、事業者は事業者の名称や前払式支払手段の支払可能金額、使用期間があるときはその期間、苦情相談を受け付ける営業所の所在地や連絡先等の情報を利用者に提供しなければなりません。

また、事業者が倒産などによりサービスを終了した場合に備えて、迅速な払い戻しができるよう「発行保証金」の供託が義務付けられています。

このように、各事業ごとにルールが規定されているため、事業を行う際にはその内容を理解しておく必要があります。

 

・違反した場合について

資金決済法においては各事業ごとにペナルティーの内容を記載しており、違反した場合には、罰金や懲役を課される可能性があります。

金融商品取引法について

金融商品取引法は、有価証券の発行や売買などの金融取引を公正なものとし、投資家の保護や経済の円滑化を図るために定められたものです。

 

・規制の内容について

金融商品取引法では、金融商品取引業者の業務や金融商品の取引に関する様々な規制が設けられていますが、その中でも特に我々がよく耳にし、かつ注意しなければならないのが「インサイダー取引」です。

インサイダー取引とは、会社の内部情報に接する立場にある役職員等が、その立場を利用して会社の重要な事実を知り、その情報が公表される前に会社の株式等を売買することをいいます。

例えば、ある社員が自社の事業が失敗してしまったと言う情報を耳にし、当該情報が公表されると株価が下がってしまうと考え、実際に株価が下がる前に株式を売却した場合、当該社員の行為はインサイダー取引に該当してしまう可能性があります。

 

・インサイダー取引規制に違反した場合の罰則について

インサイダー取引規制に違反した場合、5年以下の懲役、もしくは500万円以下の罰金が課せられます。

また法人の場合、その行為者への罰則だけではなく、法人に対しても5億円以下の罰金刑が課せられます。

ビジネス法務に関するご相談は森下法律事務所にお問い合わせください

以上のように、ビジネスを展開していくにあたっては様々な法規制の存在を理解し、リスクを回避しなければなりません。

もっとも、個々の事業が法規制に抵触するか否かについては専門的な判断を要する場合も少なくありません。

森下法律事務所では、経営者からの様々な相談を承っており、リスクを回避するための具体的なアドバイスを行っております。

お悩みの方はぜひいちどご相談いただければと存じます。

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