会社が破産したら従業員にはどんな影響がある?必要な対応は?

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会社が破産したら従業員にはどんな影響がある?必要な対応は?

会社が経営難に陥り、最終的に破産手続へと進むケースは決して珍しいものではありません。

そのとき大きな影響を受けるのが、会社で働く従業員です。

突然の倒産によって「給料は支払われるのか」「失業保険は受け取れるのか」「退職金や社会保険はどうなるのか」といった不安が一気に押し寄せます。

今回は、会社が破産した場合に従業員へどのような影響が及ぶのかを見ていきます。

会社が破産した際の最初の対応

会社が破産する場合、まず最初に従業員の解雇を行います。

従業員の解雇

会社が破産した際の最初の影響は、従業員の解雇です。

会社の破産手続は、原則として「会社の清算」を目的としています。

事業を継続するのではなく、資産を処分して債権者へ公平に配当するのが基本的な方針です。

そのため会社が破産を申し立てた時点で、通常は業務を継続する必要性がなくなり、従業員を雇い続ける合理性が失われます。

破産に関する従業員説明会

従業員は生活がかかっているため、会社が破産に至る経緯や今後の見通しについて不安を抱えています。

会社は破産申立ての際、以下のような説明を誠実に行うべきです。

 

  • 破産手続に至った理由
  • 雇用契約終了の時期や条件
  • 未払給与や退職金の扱い
  • 賃金立替払制度の案内
  • 社会保険・雇用保険の今後の手続

 

説明を怠ると、従業員からの訴訟や労働審判につながるリスクもあります。

未払給与・退職金への影響

破産時には、従業員に対する未払給与や退職金が発生しているケースが多く見られます。

未払給与(3か月分まで)と退職金(一定範囲)は、「財団債権」「優先的破産債権」とされ、他の一般債権よりも先に弁済される仕組みです。

ただし会社に資産がほとんど残っていない場合、全額の支払いができないこともあります。

会社は、従業員の労働債権を正確に把握し、管財人に引き継がなければなりません。

賃金立替払制度の活用

資産不足により未払給与が支払えない場合でも、従業員は「未払賃金立替払制度」を利用できます。

未払賃金立替払制度とは、独立行政法人労働者健康安全機構が一定の要件を満たす従業員に対し、未払賃金の一部を立て替えて支払う制度です。

会社としては、この制度が利用できることを従業員に周知する義務があります。

立替払を受けるためには、破産手続に関する証明書類が必要となるため、管財人や裁判所と連携して対応してください。

その他必要な対応

その他、従業員に関するものとしては、以下のような対応が必要です。

 

  • 社会保険に関する手続(健康保険・厚生年金の資格喪失手続など)
  • 雇用保険に関する手続(雇用保険の離職票発行など)
  • 税金に関する手続(住民税や源泉徴収に関する手続など)

 

従業員の生活に直結する部分なので、すみやかに対応しましょう。

まとめ

会社の破産は、従業員に深刻な影響を与えます。

雇用契約の終了、未払給与・退職金の発生、社会保険や雇用保険の移行といった問題が一気に押し寄せるため、会社側の誠実な対応が不可欠です。

破産を検討する段階から、弁護士と連携して計画的に対応を進めてください。

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