発信者情報開示・削除請求(IP開示・書き込み削除)

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発信者情報開示・削除請求(IP開示・書き込み削除)

昨今、インターネット上の誹謗中傷が社会問題となっています。

本記事では、違法な書きこみが行われた場合における、発信者情報開示・削除請求について解説していきます。

発信者情報開示について

インターネット上に、他人の名誉を毀損する書き込みを行ったものに対しては、名誉毀損罪や業務妨害罪が成立する可能性があり、また、不法行為に基づく損害賠償請求を請求することも考えられます。

しかし、インターネット上の書き込みは匿名で行われることがほとんどであり、書き込みを行った者を特定することは困難であるため、法的措置を取る前段階として、プロバイダから発信者の情報を開示してもらう必要があります。

以上のような必要性を踏まえて、プロバイダ責任法5条は、発信者の情報開示を可能とする手段を規定しています。

 

・発信者情報開示のための要件について

発信者情報開示請求を行うにあたっては以下の3つの要件が重要となります。

 

①権利侵害の明白性

実務上、この権利侵害の明白性の要件を満たすかどうかが最も大きな争点となることが多いといえます。

発信者には表現の自由や プライバシーが保障されていますので、単に権利侵害の可能性が存在するのみではなく、権利侵害が明らかであることが要件として必要となります。

 

②開示を受けるべき正当な理由

開示を受けるべき正当な理由とは、開示請求者が発信者情報を入手することの合理的な必要性が認められることを意味します。

例えば、請求者が発信者に対して損害賠償請求等を予定している場合には、発信者情報を入手するための合理的な必要性が認められることになります。

 

③補充性

補充性とは、侵害に関連する通信を辿らないと発信者を特定することができない場合であることをいいます。

 

・発信者情報開示請求の方法について

発信者情報開示請求の方法としては①任意開示請求②訴訟③仮処分の申立て④発信者情報開示命令の申し立てが考えられます。

しかし、プロバイダが任意の開示請求に応じるケースは少なく、実際には②〜④の方法が選択されるケースが一般的です。

なかでも、2021年の法改正にて発信者情報開示命令事件が創設されたことによって、開示命令の申立てにより迅速な解決を期待することができるようになり、発信者開示命令申し立てが利用されるケースが多くなりました。

削除請求について

名誉毀損等に該当する書き込みが行われた場合、不特定多数のものに短時間で情報が伝達されてしまうため、早急に削除を行う必要があります。

 

・削除請求の方法について

削除請求の方法としては①任意による削除請求②法的手続きに基づく削除請求が考えられるところ、プロバイダが任意の削除請求に応じるケースはあまり多くないのが現状です。

そこで、削除請求のためには、法的手続きに基づく削除請求のうち、仮処分の申立てが利用されるケースが一般的です。

 

・仮処分申立てのための要件について

仮処分が認められるためには、被保全権利の存在および保全の必要性の要件を満たす必要があります。

そして、名誉毀損を理由とする仮処分の場合、 書き込み等がインターネット上に存在し続ける限り保全の必要性は肯定されるのが通常ですので、被保全権利の存在が特に問題となります。

書き込みを行った者には表現の自由が保障されますので、当該書き込みが違法であること、つまり被保全権利の存在が認められるためには①当該書き込みが公共の利害に係るものであること②もっぱら公益を図る目的であること③摘示された事実が真実であることという3つの要件を満たさないことを立証する必要があります。

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